カテゴリ:本( 43 )

本「ベイジン(上・下)」

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本「ベイジン(上・下)」
著者:真山仁
出版:東洋経済新報社
発行:2008.7

2008年8月8日午後8時、北京オリンピックの開会式。
その開会式に合わせて、中国で造られた世界最大の原発が同時に
スタートする。
それは希望の始まりなのか、絶望の始まりなのか・・・?
ストーリーは、日本人技術者と中国共産党員である原発の責任者との
微妙な絡みで進んでいく。

オリンピック観戦のために、天津へ行っていた時、時間を見つけては
読んでいた本。
ストーリーがタイムリーだったし、実際に中国で読んでいると、中国と
いう大国が抱える問題の深さが、とてもリアルに感じた。

上下巻を一気に読み終えてしまった。
難しい問題を描きながらも、とてもエンタテイメント性が高く、読む人を
惹き付ける。
映画化するとかなり面白いだろうが、中国側が許してくれないだろう
なぁ・・・(^^;)
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by yuzitj | 2008-09-11 09:01 |

本「クライマーズ・ハイ」

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本「クライマーズ・ハイ」(文春文庫)
著者:横山秀夫
出版:文藝春秋
発行:2006.6

実際に起きた1985年の御巣鷹山での日航機墜落事故を元にして、
地元新聞社の記者たちを描いた社会派小説。

映画を観た後、早速、原作を買って読んでみた。
やはり、原作はしっかりした内容だった。
著者は、1985年の事故の際、実際に地元新聞社に勤めていた。
体験を元にしてあるだけに、描写がとてもリアルである。

会社内の派閥・局間の抗争、上司・部下間の争い、父親と息子との間の
微妙な関係、突然倒れた登山仲間の同僚、そしてその同僚の息子との
交流等々…。

小説では、映画では描き切れなかった内容が盛りだくさんだった。
しかし、ひとつひとつの話がバラバラにならず、自然な流れで話が繋がり、
主人公の男性像を作り上げている。

原作を読んでみて、とても良かった。
いつか映画がDVD化されたら、再度、観てみたいと思う。
より深く映画を掘り下げて観ることが出来るだろう。
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by yuzitj | 2008-08-21 08:32 |

本「満州国演義 1,2」

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本「風の払暁(満州国演義 1)」
本「事変の夜(満州国演義 2)」
著者:船戸与一
出版:新潮社
発行年月:2007.4

この小説は、「週刊新潮」2005年7月14日号~2006年9月14日号に
掲載された「満州国演義・霊南坂の人びと」を大幅に加筆・修正したもの
である。

小説の舞台は、満州。
麻布・霊南坂の名家に生まれた四兄弟が、外交官・馬賊の長・陸軍士官・
劇団員の早大生と、それぞれ異なる立場にいながらも、運命によって、
やがて皆、満州に導かれてゆく…。
そして、第2部では、立場が異なるが故の四兄弟の対立・苦悩が描かれ
ていく。
歴史の事実を元にしながら書かれた大河ロマンである。

激動の時代、歴史の大きな波にのまれた四兄弟が、運命的に絡んで
いかざるをえなくなっていく。
その描き方がとてもリアルに感じられ、小説の世界に引き込まれていく。
歴史的事実の裏では、本当にこのような兄弟たちが生きていたかもしれ
ない…と思ってしまった。

満州国演義シリーズは、船戸作品の中で最も大きなスケールの小説。
今後、第8部まで刊行されるらしい。
第2部までは、一気に読み終えた。
先が気になる作品である。
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by yuzitj | 2008-05-22 10:07 |

本「歳時記中國雑貨」

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本「歳時記中國雑貨」
文:原口純子
写真:佐渡多真子
出版:木楽舎
発行:2007.8

中国の日々の生活のなかに息づく雑貨達を紹介した本。
NHKラジオの中国語テキストで連載されていたものをまとめたもの。

中に紹介されている雑貨達も可愛いが、この本自体も小ぶりな大きさで
なかなかキュート。

現在、北京在住でライター・コーディネーターをされている原口純子さん
の感性が良い!
原口さんと同じく北京で活動されている佐渡多真子さんの写真もステキ!

普段は日常生活に埋もれている何気ない可愛い雑貨たち。
私はいつも見ていたはずなのに、その可愛さに気付かなかったようだ。
私も原口さん・佐渡さんの感性が欲しいものである…(--;)
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by yuzitj | 2008-05-19 08:36 |

本「内館牧子の仰天中国」

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本「内館牧子の仰天中国(幻冬舎文庫)」
文:内館牧子
写真:管洋志
出版:幻冬舎
発行:2007.10

脚本家の内館牧子が、写真家の管洋志と共に訪れた中国での出来事
を綴ったもの。

元々は、2003年に単行本として刊行されたものであった。
最近、中国の報道と言えば、食材の危険性など、マイナス点が多い。
それでも、中国は愛すべきところも多いはず!
…ということで、そんな中国を見直すため(?)、昨年10月に文庫化、
刊行されたようである。

単行本が2003年に刊行されたのだから、元々の旅は少し古い。
しかし、雲南省の旅、シルクロードの旅などは、今も変わらないなぁ…
と、自分が行った時のことも重ね合わせて、興味深く読んだ。
香港では悪役俳優たちと過ごすのだが、それも何だか楽しそう!

日本に居た時から、内館さんのエッセイはよく読んでいたのだが、この
本もエッセイ風な語り口。
軽妙な文章で、あっという間に読んでしまった。

かなり“日本人的な物差し”を持って中国を旅した内館さん。
その意見は、時には面白く感じたが、時には反発も感じた。
でも、内館さんは内館さんなりの中国を体験し、私は私なりの中国を
体験したわけだから、意見が違ってもいいのではないかと思った。

色んな視点から見た中国。
それらを重ねることによって、中国という大国が少しでも理解出来れば
良いなぁ…と思う。
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by yuzitj | 2008-05-18 10:44 |

本「過去と未来の国々 中国と東欧」

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本「過去と未来の国々 中国と東欧」(光文社文庫)
著者:開高健
出版:光文社
発行:2007.11

この本は、開高健が1960年に、社会主義の国々を訪問した時のルポ
ルタージュである。
ルポから47年経った昨年、再び出版された。

1960年、日本は安保闘争に沸いていた。
そんな中、著者・開高健は文学代表団の一人として中国に招待され、
その後、ルーマニア、チェコスロバキア、ポーランドと、社会主義国を
次々と訪問する。

各国で識者と出会い、文学評論・政治評論を交わすが、安保闘争の
折であったため、日本が注目されていたことが分かる。
毛沢東や周恩来との会見は、とても興味深かった。
会見では、やはり自然に話題は安保闘争のことになる。
毛沢東は、日本の安保闘争を支持し、日本軍と蒋介石は“反面教員”と
して中国を教育してくれた…と感謝している。
国交の無かった時代であるから、毛沢東の生の言葉を聞けた日本人
は、そういなかったであろう。
貴重な体験であったと思われる。

中国ルポは、面白く読んだ。
列車移動の際の列車内の様子、車窓の風景など、今も何ら変わって
いない。
47年も経っているのだから、都会の風景は随分変わったであろうが、
車窓を流れる農村の風景描写などは、今も当時と同じである。
(北京が静かだという描写には驚いたが…。)

反対に、変化の早さも、中国独特のものがある。
中国が持つ熱気・熱情がそうさせるのであろうか?
開高氏が描いた時代から(中国の歴史が始まってから?)、変わらない
熱気・熱情を持って、中国は変化し続けている。
これから先も、中国はそのまま突き進むのであろう。

私は東欧の国々に行ったことがなく、その国の空気感が分からない。
しかし、開高氏のルポを読んでいると、自分もその場にいるように、
映像となって見えてくる。

でも、ルポは47年前のもの。
世界経済のグローバル化により、1989年には東欧革命が行われ、
東欧の国々では次々と共産党政権が崩壊、ソ連型社会主義は否定、
市場経済化されていった。
その後、チェコスロバキアは1993年に、チェコとスロバキアに分離・
独立した。
これらの国々は、今ではすっかり様変わりしていることだろう。
どんな国となっているのだろうか?

1989年といえば、天安門事件。
中国では、民主化運動は弾圧された…。
この本の中で、社会主義国として残っているのは、中国だけである。

それにしても、今何故この本が改めて出版されたのであろうか?
今、何かと中国が話題になっているからか?
「過去と未来の国々」というタイトルの持つ意味が、とても深いものの
ように思われてくる。


<四川省大地震お見舞い>
昨日、遅ればせながら四川省大地震の義捐金を払い込みに行ってきた。
微々たるお金だが、ほんの少しでも役に立てれば…と願っている。
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by yuzitj | 2008-05-16 10:17 |

本「秘曲笑傲江湖(1~7)」

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本「秘曲笑傲江湖(1~7)」
著者:金庸
監修:岡崎由美
訳者:小島瑞紀
出版:徳間書店
発行:2007.6~2007.12

中国では、金庸(1924~、浙江省出身)の武侠小説が人気。
金庸は、中華圏に約12億人の読者を持つ超人気作家である。
武侠小説に興味があったので、金庸作品を読んでみることにした。

選んだのは、「秘曲笑傲江湖」。
ストーリーは…
昔の中国(時代は不明)、主人公の剣士は無実の罪を着せられ謹慎・
破門、幻の秘曲「笑傲江湖」の楽譜を手に入れるが、剣術の秘伝書
「辟邪剣譜」を巡って、各派入り混じっての激しい戦いに巻きこまれる。

魔界・妖怪・仙人など、ストーリーは全く荒唐無稽!
でも、この小説には読む者を惹き付けて離さない魅力がある。
とにかくエンターテイメント性が高い。
スピード感溢れる戦いの場面の描写は、まるでアクション映画を観ている
ようだし、登場人物たちの個性豊かなキャラクター描写や心理描写、恋愛
描写は、連続長編ドラマを観ているような気分にさせた。

7巻あるので、結構長編なのだが、一気に読めてしまう。
(前に吉川英治の「宮本武蔵」を一気に読んだ時の読後感と似ている。)
翻訳本は概して読みにくいものなのだが、これは全然違和感無く読めた。
原作の魅力もあるだろうが、日本語訳も上手いのだろう。

読み終える頃には、すっかり金庸ファンになっていた私…(^^;)
これから、今までの作品も読んでみようと思う。
(出来れば、いつかは中国語の原作本を読んでみたいものである。)
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by yuzitj | 2008-05-13 10:48 |

本「関口知宏の中国鉄道大紀行 2 <春の旅> 桂林~西安」

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本「関口知宏の中国鉄道大紀行 2 <春の旅> 桂林~西安」
著者:関口知宏
出版:徳間書店
発行:2007.11

NHKの番組「関口知宏の中国鉄道大紀行」を書籍化した第2弾。
(第1弾は、2007年11月21のブログで紹介。)

第2弾では、桂林を出発して、石門県・吉安・武夷山・合肥を経て、“春の
旅”のゴールである西安まで、“春の旅”の後半の様子が絵日記と写真で
綴られている。

凱里の苗族(ミャオ族)の村、武夷山の川とお茶、福建の円楼、黄山の
屯渓老街、上海や合肥の街、そして西安。
この本には、私も実際に見た景色がたくさん載っている。
自分が旅した時のことも思い出され、とても感慨深い。

関口さんは、テレビで放映した時も言っていたが、武夷山の川の水で、
長い旅で溜まってしまった疲れが吹き飛んだそうだ。
私は日本に居る時、武夷山の岩茶を飲んで、冬なのに身体がポカポカ
して、元気になった覚えがある。
武夷山の岩には、とても滋味豊かなミネラル成分が含まれているに違い
ない。

本という形になると、テレビでは伝えきれなかった関口さんの詳しい感想
を読むことが出来る。
今後、テレビでは、また再放送があると思うが、番組のファンの方なら、
本の方も是非、読んでみて欲しい。


<おまけ1>
2月17日から24日まで、重慶で行われていた東アジアサッカー選手権。
日本男子は2位、日本女子は優勝。
なでしこ全勝・初タイトル、おめでとう!

中国人の観戦マナーについては、あちらこちらで議論されているようだが、
オリンピックまで、あと少し…。
中国人、ガンバレ!

(写真は、中国雅虎!(YAHOO!)体育より。)
[男子 日本vs中国 (2/20)]
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[女子 日本vs中国 (2/24)]
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<おまけ2>
昨日、日本では、各地で強風・高波・地吹雪の被害があったそうだが、
天津では昨日、冬の寒さが戻り、かなり寒かった…。
昨夜、また雪が降り、今朝起きると積もっていた。
まだ春は遠いのか?

[今朝、雪の積もった天津]
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by yuzitj | 2008-02-25 06:00 |

本「大地(一~四)」

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本「大地(一~四)」(新潮文庫)
著者:パール・バック
訳者:新居格
補訳:中野好夫
出版:新潮社
発行:1981-1997

「大地」は、清朝末期~中華民国成立までの時代を背景にして、三代に
わたる家族の盛衰を描いた物語。

第一部の「大地」は、1931年の出版と同時にベストセラーとなり、三十ヶ
国語以上に翻訳された。
翌年にはピューリッツァー賞を受賞、1935年にはアメリカ芸術院から
ウィリアム・ディーンハウェルズ・メダルをもらい、1938年にはパール・
バックの父母の伝記と合わせてノーベル文学賞を受賞している。

著者のパール・バック(1892-1973)は、中国で活動していたアメリカ人
宣教師の娘として生まれ、17歳まで中国で育った。
よって、中国語は母国語の英語同様に解したそうである。
17歳の時、アメリカの大学へ入学するが、卒業後は中国に戻り、中国の
農業経済を専攻するロッシングと結婚し、宣教師の仕事をしながら南京
大学で英文学を教えていた。
そして、1931年に小説「大地」を発表し、世界的に注目されるようになる。

「大地」は、続編の「息子たち」「分裂した家」と共に、三部作となっている。
この三部作は、日本では「大地」として、まとめられている。

とにかく農村生活の描写の細やかさには驚かされた。
農業経済を専攻していた夫の知識が助けとなったのであろうが、実際に
農村で生活していたのではないかと思わせるほどの細やかさである。

そして、中国人たちの心理描写にも感動させられた。
この時代の小説は、どうしても歴史的人物に焦点が当てられがちだが、
あえて一般市民の視点からの小説となっている。
中国農民の考え方や、その頃の一般的な中国人の外国や外国人に
対する見方など、とてもよく捉えている。
著者がアメリカ人だというのを忘れてしまうほどの描写力である。

それから、時代背景の考察も見事なものである。
中国が一番混乱していた時代を描写しているにも関わらず、的確に歴史を
捉えている。

読み始めた時は地味な小説に思えたが、その描写力に圧倒させられ、
読み進むうちに、どんどん小説の世界に引き込まれた。
世界でベスト・セラーになり、大きな賞を取ったのが分かる。
他に例のない素晴らしい小説だと思う。
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by yuzitj | 2008-02-05 06:00 |

本「中国人強制連行の生き証人たち」

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本「中国人強制連行の生き証人たち」
写真・文:鈴木賢士
出版:高文研
発行:2003.8

昨日紹介した「在日殉難烈士・労工記念館」を見学する前に、強制連行・
強制労働について、何か読んでおきたいと思い、この本を選んでみた。

この本の半分以上は、強制連行・強制労働に耐えて、何とか生き残った
生存者たちの写真である。
著者は、老いた生存者の自宅を一軒一軒回り、生存者と自宅の様子を
撮影している。

中国に戻ることの出来た生存者たちは、ほとんど皆、農村で質素な暮らし
をしている。
生存者たちは、強制労働や虐待で受けた傷害によって、まともな仕事に
就けず、苦労を強いられてきたようだ。
連行されていた期間だけではなく、その後の生活にまで支障をきたして
いたなんて、何と酷いことなのだろう…。
60年経った今でも残る傷跡…。
その写真を見ていると、胸が痛い…。

60年という時間は長い。
謝罪と補償を待っていた生存者も、次々と亡くなっていく…。
しかし、今でもまだ訴訟を起こし、頑張っている生存者や遺族の方々が
いる。
解決への道は、まだまだ遠いのだろうか?
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by yuzitj | 2008-02-02 06:00 |