映画「盲井(Blind Shaft)」

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映画「盲井(Blind Shaft)」
監督:李楊(リー・ヤン)
出演:李易祥、王双宝、王保強 ほか
2003年作品

映画「盲井」は、昨日(12月24日)紹介した「盲山」の監督・李楊(リー・
ヤン)監督の映画デビュー作。
中国とドイツの共同制作である。

原作は、劉慶邦(リュー・チンバン)の小説「神木」。
この原作の小説は、2002年老舎文学賞を受賞している。

昨日も紹介したように、この映画は2003年のベルリン映画祭で銀熊賞、
フランスのドーヴィル・アジア映画祭で最優秀作品賞他5つの賞を獲得。
李楊監督は華々しい映画デビューを果たしたが、映画の内容により、
中国当局の怒りに触れ、3年間の中国国内の上映・制作禁止処分を
受けた。

映画のあらすじは…
ヤミ炭坑に働く男性二人。
彼らは詐欺師で、出稼ぎの人を騙し、親戚としてヤミ炭坑で一緒に働き、
しばらく経つと炭坑内で殺害、事故に見せかけ、炭坑主に賠償を請求
する。
ヤミ炭坑を転々としながら、そのような犯罪行為を繰り返していた二人は
ある日、出稼ぎ少年に出会う。
今までと同じように、その少年を殺害する計画を立てたが、少年のあまり
の純真さ・純朴さに、男性二人のうち一人は殺害を躊躇するようになり…。

純朴な少年役を演じたのは、王保強(ワン・バオチアン)。
この役で、ドーヴィル・アジア映画祭主演男優賞、台湾金馬奨最優秀
新人賞を受賞した。
その後、馮小剛(フォン・シャオガン)監督の映画「天下無賊」(主演は、
劉徳華(アンディ・ラウ))に出演し、またもや純朴な出稼ぎ少年役を演じ
ていた。
映画以外でも、テレビのバラエティ番組で彼を見たことがあるが、とても
真面目なしっかりした性格で、好感のもてる青年であった。

この映画では、中国の出稼ぎ農民の犯罪、ヤミ炭坑問題、拝金主義など
の問題を明らかにしている。

貧困農村部では、農作業の出来ない冬の間、出稼ぎに出る農民が多い。
しかし、出稼ぎに出た街では、身分差別され、賃金の安い労働しか与え
られない。
奴隷のように扱われ、腹を立てた出稼ぎ労働者は、しばしば犯罪を起こ
してしまう…。
そのようにして犯罪を犯した出稼ぎ農民達が働けるのは、もうヤミの労働
所でしかない。

以前、炭坑の街を訪れた時、ヤミ炭坑の話や、炭鉱事故の隠蔽の話を
聞かされた。
ヤミ炭坑は地方官僚関係者が経営していたり、地方行政と癒着している
こともあり、摘発は難しい…。
安全を保障されないヤミ炭坑では、連日のように事故が起きているらしい
が、経営もヤミなら、働く人々も犯罪者などが多いため、事故が報道など
によって明らかにされることは滅多になく、お金で解決させることが多い
そうだ。

ヤミの労働所と言えば、最近、山西省のヤミレンガ工場が摘発された。
その工場では、誘拐した少年を連れてきて、強制労働させていたのだ。
その工場もまた地方官僚関係者による経営だったため、今まで摘発
されず黙認されていたのだが、子どもを誘拐された親たちがネットで
呼び掛け合い、ヤミレンガ工場を突き止め、地元警察の重い腰を上げ
させたのだそうだ。
少年たちは、工場で奴隷のように働かされ、動けなくなった少年は工場
脇に埋められ、度重なる暴力で精神状態に異常をきたしてしまった少年
もいたようだ。

お金のために人の命が軽々しく扱われるのは、とても嘆かわしい…。
でも、私は生活に困っていないので、そんなことが言えるのだろうか?
生活が苦ければ、人はお金のために何でもしてしまうものなのだろうか?
どこかに救いの道はないのだろうか?


And so this is Xmas
For weak and for strong
For rich and the poor ones
The world is so wrong …

(John Lennon “Happy Xmas”)
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by yuzitj | 2007-12-25 06:00 | 映画
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